この文章は、ねたばれを含みます。
映画「伊豆の踊子」(1963年、日本)
NHK BSプレミアム(プレミアムシネマ)で放送されたのを録画していたので見ました。映画『伊豆の踊子』はたくさんのバージョンがあるようですが、吉永小百合さんと高橋英樹さん主演のものです。おふたりがこんなにお若いころの映像作品は初めて拝見したので、なんだか新鮮でした。
学生さんと楽しそうに大島や甲府についてのお話をしたり、道を見おろして学生さんが来るのを待っているときなどの薫さんが無邪気で可愛らしくて、見ていて楽しかったです。唐突に訪れてしまったお別れの場面はやはり切ない。無我夢中で手を振るのに気付いてもらえてよかった……。
川端康成『伊豆の踊子』(新潮文庫)、新潮社、2003年.
映画「伊豆の踊子」を見てこのお話を好きだなと思い、原作とどう違うのか比べたかったので、書店で見つけ次第購入して読みました。
「伊豆の踊子」「温泉宿」「叙情歌」「禽獣」の4編が収録されています。このなかでは「伊豆の踊子」がいちばん好きだけれど、「禽獣」も印象に残りました。「叙情歌」はすこし難しかったかな……。いつかもう一度ゆっくり読み返したいです。
映画と原作の違いについての雑感
踊り子たちとの旅が回想になっている点(入れ子構造、とも言えるでしょうか)、ラストの、別れや船内のシーンなど、映画と原作には幾つかの違いが見つけられましたが、何よりも気になったのは物語の編成についてです。
原作の短さには驚きました。映画になるくらいだからそれなりの長さはあるのだろうと、勝手に思い込んでいたためです。
どういうところを変えて、どういうところに手を加えて、このように長い作品にできたのかと思えば、どうやら映画は「伊豆の踊子」を本筋として、川端さんの他の作品である「温泉宿」が入り交じったストーリーになっているようでした(新潮文庫では、二編は一冊に収録されています)。「温泉宿」の登場人物と同じ名前・境遇の人物が、映画に登場しています。例えば、薫さんが出会うご病気らしい女性は、「温泉宿」の登場人物のようです。
あの「温泉宿」のお話が、このように「伊豆の踊子」のお話に組み込まれているなんて……このようなアレンジの方法もあるのだなと思いました。
それから、個人的には何となく映画の方が、踊り子に対する社会的差別をより意識強く意識するような表現になっているように感じました。
(2018/10/04 - 2018/10/07)
(2020年03月10日 改稿)

